©HBO
スポンサーリンク

バンド・オブ・ブラザーズのあらすじと感想(6~10話)

第6話 衛生兵の孤独な戦い

真冬の12月。E中隊を含むアメリカ軍とドイツ軍との戦闘は、雪が降り積もったベルギーのバストーニュの森の中で長い膠着状態に陥っていた。互いに目と鼻の先に陣を構える両軍。用を足しに陣を離れただけで、敵兵に遭遇する近さだ。深い霧のために味方の飛行機が補給を行えず、食料、弾薬、防寒具、医療品が底をつき始めていた。

そんな中、左腕に赤十字の腕章をつけた衛生兵のユージーン・ロウ(Shane Taylor)(愛称「ドク」)は、味方のタコツボ(塹壕)を駆け回ってモルヒネをかき集める。その最中にも、アメリカ軍はドイツ軍から砲撃を受ける。あちこちから聞こえる「衛生兵!」と助けを呼ぶ声…。

Silky

第6話の主人公は、衛生兵のユージーンでした。もっとも、その「活躍」という表現は似つかわしくない内容でしたね。ユージーンがどんなに頑張っても報われない…悲しい回でした。

ユージーンは医師の資格を持たない衛生兵ですが。軍医は医師の資格を持っています。ただ、軍医ってこの世で一番むなしい職業なのではないかと思います。だって、人のケガや病気を治したくて、医師になったのに。自分が一生懸命毎日数人を治療しても、それ以上の10人、100人の人間が、人為的に傷つけられて運ばれてくるのですから。

後で調べて知ったのですが、衛生兵は基本的には敵を攻撃してはいけないのですね。道理でユージーンも誰も援護せず、ひたすら救護に飛び回っています。あんな状況でも、ケガ人が出るまでは、自分はただ後ろに隠れていなければいけないなんて…。自分を無力に感じてしまいそう。

ユージーンは、味方が撃たれたら、流れ弾も恐れずまっすぐ負傷兵の元へ走って行く勇敢さを持っています。だから、味方にはすごく頼りにされていますね。

それにしても、雪の降る野外で生活する中でもヒゲを剃るウィンターズ。某なんとかデッドリックとかダリルも見習って欲しいわ…。

モルヒネ

モルヒネはアヘンから抽出される鎮痛剤で、現在の医療現場でも多く使用されています。麻薬のヘロインの仲間なのですが、医療目的での使用は例外的に認められています。

ということは、医師になれば好きなだけモルヒネ買えるの?ヤッホー!と思った、偏差値高いけどまぁまぁバカなあなた。少し待って下さい。

確かに、開業医であれば、その専門科によってはモルヒネを常備できます。ただし、その在庫と使用量については小まめに行政に報告する義務があります。よって、医師になったからといって、好き放題にできるわけではありませんので、諦めて下さい。

衛生兵(Medic)

衛生兵とは、傷病者等の治療や予防だけを行い、攻撃行為を行わない兵士を指します(もっとも、武装をしてはならないという訳ではありません。自衛または負傷者を護衛するための武装はOKです)

4つあるジュネーヴ条約の第1条約で「衛生機関や衛生要員を攻撃の対象としてはならない」旨が明記されています。

衛生機関や衛生要員であることの表示には、通常、赤十字マークが使用されます(ちなみに、このマークはむやみに使用してはいけないことになっています。だから、その辺の病院が使用したりはできないのです)

〔赤十字の成り立ちに関心のある方はこちら〕
赤十字誕生物語 ~漫画で分かる~(赤十字社サイト内のPDF)

ところで、このジュネーヴ条約は、バンド・オブ・ブラザースの舞台である第2次世界大戦後、何度かの大きな改正を経て現在のものとなりました。では、当時の戦争負傷者や衛生兵に関する国際ルールはどのようなものだったのでしょうか。

ジュネーヴ条約が一番最初に成立したのは、第2次世界大戦から80年ほど前の1864年のことです。成立当時は陸戦における傷病者の保護のみを規定する短い条文でした。第2次世界大戦時に有効であった内容は、1929年に各国が批准した1906年バージョンのものと思われます。内容としては、現在のものと大きな違いはありません。

ちなみに、ドイツやアメリカだけでなく日本も、第2次世界大戦当時にはこの条約に加盟していました(1929年の加盟国一覧)。もっとも、誤射を装って衛生兵を撃ったりすることもあったようです。

Silky

というか、戦争時でも「市民は殺してはいけない」とか「衛生兵は殺してはいけない」とかいう国際慣習が、すごく偽善的なものだと感じるのは私だけでしょうか。要するに、「殺してもいいけど、殺す人は選びなさい」というルールですよね。

確かに、「兵士」は全て自ら望んで戦争に来た人だと言えるなら、こういうルールにも一定の合理性はあるでしょう。でも兵士ってみんながみんな、心の底から望んで来てるのでしょうか。国によっては、国民の義務という名の下に徴兵された兵士だっているはず。本当はイヤだけれど、家族を食べさせるために他の手段がなかったという人もいるはず。

それに、負傷者が保護の対象に含まれるということは、5秒前まで機関銃ぶっ放してた人も、ケガした瞬間に保護対象に変わるということです。本当にバカバカしいとしか言いようがありません。

第7話 雪原

長い膠着状態を終えたものの、またも進軍を命じられたE中隊。フォイ村へ向かう途中、フーブラー(Peter McCabe)は念願のドイツ式自動拳銃ルガーを手に入れた。しかしその直後、悲劇に見舞われる。

ウィンターズが昇格して以来、E中隊の統率を任されたのはイェール大育ちのおぼっちゃま中尉ダイク。無能な臆病なダイクに対して徐々に不満が募るE中隊。リプトン軍曹(Donnie Wahlberg)は、そんなE中隊を上手くまとめる。

一方、ダイクに代わってE中隊を率いる能力を持つのは小隊長コンプトン(Neal McDonough)だったが、病院の凄惨な様子を見てきたためか、コンプトンは、精神を病み始めていた。そんな折、E中隊は、塹壕を補強中、またもドイツ軍の砲撃にあい…。

Silky
第7話は、リプトンの視点から描かれた形となりました。無邪気なフーブラーの悲劇から始まった第7話。癒やされるお気に入りキャラだったので、ショックでした。

一方、ジョーがやられてからの一連の悲劇は、見るに堪えないものでした。コンプトンがヘルメットを脱いだあの瞬間、、、彼の中で何かが切れたのがよく分かりました。ブライスとは別の形の精神崩壊を見ました。

馴染みのキャラクターがどんどんいなくなっていく中、あのダイクのへっぽこ指揮ブリには本気で殺意が…。あいつのせいで何人死んだと…(怒)。ああいう時、味方でも殺していいっていう法はないのかしら…。

ウィンターズが堪えきれなくなったところに、サイコキラー・スピアーズ特攻隊長の再登場ですよ。砲撃の煙の中から飛び出てくる姿には痺れました。続けて敵の中をシレーッと走り抜けて…。まじ「What da hell」。化け物です。きっとアメリカ人が大好きな名シーンとなったことでしょう。

E中隊はもともと最強の部隊なんです。指揮官さえしっかりしていれば、怖いものなし!そのE中隊でさえ怖いのがスピアーズ。タバコを勧められた時の兵士達の顔(笑)。スピアーズ、実はユーモアのある人だったのかもしれませんね。

そして今日も冒頭でヒゲをそりそりウィンターズ…。きれい好きなのかしら。

第8話 深夜の偵察

バストーニュでの死闘の疲れを癒やす間もなく、E中隊はハーゲナウへの配置を命じられる。ハーゲナウでは、アメリカ軍は、ライン川を挟んでドイツ軍とにらみ合いになっていた。そんな折、ノルマンディで負傷して戦線を離れていたウエブスターと、新たに配置された士官学校卒のジョーンズ少尉がやって来る。

連隊隊長のシンク大佐の命令により、数名の兵士で夜中に川を渡り、ドイツ軍兵士を捕らえてくることになる。シンク大佐が終戦前に手柄を立てたいだために考え出した愚かな作戦だ。

終戦間近のこの時期に、誰もがいやがる危険なこの任務。仲間の信頼を取りもどしたいウエブスターと、終戦前に実戦経験を積みたいジョーンズ少尉は、あえてこの斥候部隊に志願するが…。

Silky
まずね。みんなウエブスターに冷たすぎ(笑)。好きで戦線離脱していた訳でもないし、戻ってきたんだから、優しくしてあげればいいのに。とはいえ、時はもう終戦間近で勝利が見えてる時期なんですよね。いわば「安全になってから帰ってきたヤツ」なんでしょうね。

ちなみに、いきなり飛んできた砲弾に思わず飛んで身を伏せたウエブスターの奥で、微動だにせず砲弾の行き先を見つめているスピアーズ大尉(お!昇進した)を、私は見逃しませんでしたよ。

もう1人。新しく来たジョーンズ少尉は、見事な七三分けでいかにもお坊ちゃま。お肌もツルツルで古参兵とは様相が全く違います。一生懸命威厳を保とうとしてはいますが、いちいち敬礼したり、いかにも「机上論しか知りまてーん」て感じですよね。笑

2人は、視聴者の予想に反して(?)立派に職務を果たしましたね。ウエブスターは仲間として認められ、逆上して捕虜を殺そうとする隊員を必死で止めたジョーンズ少尉も、グッジョブでした。同時に、実戦の恐ろしさが身に染みた2人でもあります。

ですが、予想通りまた死者が出てしまいました。これこそ犬死に。2回目の斥候を命じるシンク大佐が川辺に来た時、「対岸から撃たれてしまえ」と思ったのは、私だけではないはず…。その後のウィンターズの采配はあざやかでしたね。だからみんな、ウィンターズが好きなんです。そしてまた昇進です。今度は少佐!

ところで、『今日の潔癖症ウィンターズ』は冒頭の「おいニクソン。石けん、ちょーだい」でした。笑

第9話 ユダヤ人収容所

春になり、ドイツ領内へ進軍したE中隊。そこには、抵抗するドイツ軍の姿はもうなかった。E中隊は、思い思いに 略奪をする 戦利品を手に入れる。やっと訪れた平和を満喫するE中隊の古参兵。新しく入った補充兵が戦闘を待ち望んでいるのが気に入らず、八つ当たりする。

投降した30万人のドイツ兵を脇目に、ヒトラー討伐に向かうE中隊。道中の村に一晩滞在することにしたE中隊。近隣の森をパトロール中、異様な匂いに気付く。森を抜けた先にはユダヤ人収容所があった。匂いの元は、腐った遺体と焼かれた人の匂いだったのだ…。リーブゴット(Ross McCall)の通訳を通して収容所の実態を知ったE中隊は驚愕する。

Silky

第9話の主題は、ユダヤ人収容所でした。連合軍は戦時中、ユダヤ人収容所の実態はもちろん、その存在も知らなかったのですね。ならば、あの異様な光景を見て、どれだけ驚いたことでしょうか。土葬が主流のアメリカ人にとっては、死体を焼く「炉」の存在も、衝撃的だったことでしょう。

アメリカ人の中には、ユダヤ人の血を引く人も多く、実際、E中隊のリーブゴットはユダヤ人で、収容所を見て大きなショックを受けます。収容され弱っているユダヤ人を適切に管理して救うためとは言え、食べ物をとりあげて、『死の牢獄』に戻れと言わなければならなかったリーブゴットの辛さを思うと…。涙が止まりませんでした。せめて、もっとマシなキャンプを設営してあげるとかできなかったのでしょうか…。

私がユダヤ人収容所のことを知ったのは、小学校低学年の時。父親が買ってきた『石の花』という漫画を読んだ時でした。あの漫画で「パルチザン」という言葉を覚えました。当時は、歴史背景など何も分からずに読んでいましたが、子供の心に強烈な印象を残したことは確かで、今でもこうして漫画の名前を覚えています。

アメリカ軍に進軍されたドイツの町は、進駐軍が上陸した日本と同じ状態だと思いますが。日本人が進駐軍を恐れたようにドイツ市民がアメリカ軍を恐れている様子がないのが意外でした。

ところで、ここまで終戦に近づくと、我らが特攻隊長スピアーズの出番がなくなる…と思ったら、なぜか銀食器に固執するスピアーズでしたね。なぜだ(笑)郵便係の兵士が言った「もう少しで家に帰れますね」という言葉に微笑んだスピアーズが、やっと普通の人間に見えました。

VAT69

ヴァット69(バンド・オブ・ブラザーズ)

ちなみに、アル中寸前のニクソン大尉があおるように飲んでいたのは、このVAT69というスコッチです。今でも購入できるお酒で、お値段は1200円ほど。

1200円とお安いですが、評価が高い!ALL★五つです。まじで?味は、フルーティーで甘くて美味しいようです。へー。後で買ってみようっと。

まぁ、国を守るために前線で戦って、やっと帰れると思った矢先に妻に離婚を言い渡され、さらには犬までとられそうになっているのですから、酒に溺れる気持ちは分かりますがね。わたしだって、誰かが私の猫をもって行こうとしたら、容赦なくハラキリの刑です。未遂でもね。

第10話 ヒトラーの山荘『イーグルズ・ネスト』

ヒトラーの自殺を機に、終戦は確実となった。しかし、ヒトラーの親衛隊は最後まで抵抗を続けていた。夏を迎えるころ、E中隊は、SSが守るヒトラーの山荘「イーグルズ・ネスト」の占拠を命じられた。連合軍の他国の軍隊を出し抜いて、占拠に成功するE中隊。

豪華な山荘で最高級の酒を楽しんでいる最中、遂に「ドイツ全面降伏」の知らせが届く。近隣には巨大なワインセラーもあった。E中隊の面々は、除隊後の身の振り方を考えながら、オーストリアに向かう…。

Silky

バイエルン地方の美しい景色が印象的な最終回でした。

イーグルズ・ネスト

イーグルズ・ネストとは占領軍がつけた名前で、正確には「ケールシュタインハウス」と言います。今では有名な観光スポットとなっており、誰でも中に入れるようです。ドイツ語のホームページですが、興味のある方はこちらをどうぞ。左下の「WEBCAM」でイーグルズ・ネストからのライブ映像が見られるようです。

ドラマでは若干『合成』感が出ていましたが、そこからはすばらしい景色が見られることは間違いないようです。

ギーススバッハ

オーストリアに入ってからE中隊が滞在していた山間の建物も、すばらしい景色でした。調べたところ、こちらはスイスに実在する「ギーススバッハ」というホテルでした。

 

Silky

ところで、ナチスのやったことは到底許されることではありませんが、ドイツ軍士官の軍服はめちゃくちゃかっこいいですよね。強そう。いかにも『悪』って感じ。ああいう格好で闊歩されたら、無学な若者が訳も分からず心酔するのも無理はない。

ドイツが降伏した頃、日本の沖縄にもアメリカ軍が上陸します。アメリカ人から見ると、もう勝ち目なんて絶対にないのに、子供や女性までに槍を持たせて抵抗を続ける日本軍は、どれほど恐ろしく見えたことでしょう。

総評

こうして10時間以上も戦争「映画」を見ると、戦争から生きて帰るのは本当に奇跡なんだと思い知りました。

現在のアメリカによる主な攻撃手段は、無人機(ドローン)による空からの爆撃です。このやり方は、味方の死傷者を最小限に留められるというメリットがある反面、誤爆が多いということで、多くの国際的批判にさらされています。

私は、別の理由からドローン攻撃の主流化に疑問を感じます。

私は、戦争の最大の抑止力は「人を殺したくない」という気持ちだと考えています。通常の人ならもつこの生来の道徳心が、ドローン攻撃では刺激されないように思うのです。

自分の放った弾で目の前の人間が血を流す。隣の友が倒れる。そういう無残な光景を目にすることなく戦争をしていては、双方、いつまでたっても「もう止めたい」という気持ちが生まれないのではないでしょうか。

第3次世界大戦勃発か?などとも言われる今日。今一度、戦争の意義を考え直す、よい機会を与えてくれた名作ドラマでした。

バンド・オブ・ブラザーズ 配信状況

バンド・オブ・ブラザーズは本国アメリカでシーズン1まで放送されています。シーズン2は制作されていませんが『The Pacific』という対日戦を描いた作品があります。バンド・オブ・ブラザーズの日本国内の配信状況は、こちらのバンド・オブ・ブラザーズ配信スケジュールでご確認ください。

おすすめの記事